2023年1月10日(火)~13日(金) 東京~伊予西条~高知~馬路村~室戸岬~足摺岬
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1月12日(木)
翌日は、朝9時に馬路村農協の専務とアポイントがとれたので、ゆず加工品を中心とした「ムラ起こし」について懇談した。現在、農協の販売額は28億円あるとの事だった。村の特産のゆず加工品の歴史をきいたところ、「昔からこの地では、生産していたゆずの実を搾り、ゆず果汁を大手醸造メーカーに販売をしていたが、昭和50年代の後半、ゆずが大豊作でゆずの果汁は大暴落となった。これを契機に、馬路村農協では、自ら加工・製造・販売する道を選択し、コンサル&デザイナーと連携し、ゆず加工品の通信販売に力を入れることにし、多くのゆず製品を作るようになったのです」と話してくれた。
今では、農協独自のコール―センターをもっていて、ネット、電話、Fax注文に対応しており、最近では化粧品工場を作り研究から製造まで行っている。これらの試みの結果、山村に働く場が広がったとのことだった。
おみやげに頂いたカレンダーには、個性的な馬路村物語が語られ、それに似合う絵が描かれたユニークなものだった。専務に、拙書「錯覚の権力者たちー狙われた農協―」を送ることを約束して農協を後にした。

10:30ころに馬路村を出発し室戸岬経由で高知に戻ることにした。

室戸岬の駐車場に車を止め、外に出ると右側のやや小高いところに銅像があった。龍馬と一緒に近江屋で暗殺された中岡慎太郎の像だった。中岡慎太郎の目は遠く太平洋を睨んでいた。室戸岬は南海トラフのメガスラスト(上位の地層が下位の地層に対して緩い角度でずり上がった断層)の活動で海岸段丘が形成され、岩礁、奇岩が形成されたといわれている。確かに断層が斜めに入った岩礁やタービダイト層と見られる奇岩があちこちにゴロゴロとしている。

―しばらくの間、室戸岬の先端の海岸に座り、太平洋を眺めたー
立ち上がり、フト、後ろの中岡慎太郎の像を見ると、その像が、なぜか人工的な匂いがした。

(室戸岬) (高知城)
 
室戸岬から、一路、高知に向かった。T夫婦に高知城まで車で送ってもらい、夕方、追手筋の小料理屋「まえの」で18時に待ち合うことにして、M画伯と高知城を見学することにした。
高知城は昔の面影が残った良い城だった。最初に目に入ったのは石垣の積み方だった。いわゆる、昔の野積み的な感じがする石垣だった。石と石の間がきっちりと接しておらず隙間があるのだ。
同行しているM画伯にその事を言うと、
「石垣の端の積み方には特徴がある」との事だった。
「特徴ですか?」
「そうです、稲田さん、石垣の端の石の長さをよく見てください。積まれている石の長さが、一番下が「長い」事がわかるでしょう。その上の石の長さは「短い」、その上の石は「長い」、また、その上は「短い」と言う具合に、下から長い、短い、長い、短い、長いとなっているでしょう」
と石垣を指差して言ったのでした。
石垣の積まれた石を注意してみてみると、確かに、画伯の指摘するような積み方になっている。
「城の石垣の絵を描くときは、この特徴を頭に入れて書くのです」
「なるほど、そう言うものですか?」
「それとこの高知城は、雨が多いので、水が浸透し流れるように、石と石の間を少し開けているのかもしれません」
と言った。

-私はM画伯の知識に少し驚いた-

(板垣退助像) (はりまや橋)
 
高知城を見学したあと、市内をブラブラ歩きし、ひろめ市場でお土産を買い、夜の食事場所の追手筋の「まえの」に向かった。

この店は、北海道十勝清水の友人Kが、昨年11月に高知に来たときに食事した処で、「かつおのたたき」「関サバ」が美味いと推薦してくれたのだ。
店は大将と女将と手伝いの女の子がやっている感じの良い店だった。
我々3人は、カウンターに座り、付け出しの「まいご(関東ではナガラミ)」をアテに、ビールで乾杯、その後、高知の地酒で宴会が始まった。肴は「ハガツオのたたき」、「赤なまこの酢の物(私)」、「のれそれの酢の物(M画伯とT先輩)」、「ウツボのから揚げ」、「クルマエビ」、締めは「サバ寿司」だった。
「ハガツオのたたき」は美味だったが、なにかの話で、大将が、「はがつお」は、本当の「かつお」でなく、スズキ目・サバ科のカツオに似た魚で、キツネガツオとも呼ばれていると教えてくれた。また、香川や愛媛に面した瀬戸内では本カツオは取れないので、ソウダカツオを使っている店が多いことを教えてくれた。ソウダガツオも、スズキ目サバ科の魚だそうだ・・・・・ってことは、ハガツオやソウダカツオを本カツオだと思って食べている消費者が圧倒的に多いってことになる。秋になり油の乗った本カツオが一番美味いと大将が言っていたので、次回、何かの調査で、再度、高知に本カツオを食べに来なければと思った。Kが推薦しただけあって非常に美味かった。
 
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