『浮島のオアシス』 | ||||
-男社会の中で闘い続けている現代のキャリアウーマンへの応援歌- 成果主義、利益優先主義、男社会に疲れを感じた中年の男女が、ある夏、北の小さな島で偶然出会う。 「純愛の不倫」という、一見矛盾するテーマを、主人公の山村と千秋の心の動きを通し読者に語りかける。大人の本当の恋とは、優しさとは、勇気とは何なのか?山村と千秋は、二日間、その答えを見出すために過ごすのだった。 ・・・・・・山村は左側に座っている千秋を見つめた。千秋も山村を見つめ返し、目を閉じながら頭を山村の左肩にあずけてきた。千秋の柔らかな髪が山村の頬にかすかに触れた。ほのかなリンスの香りがした。髪の中に顔を埋めたくなるような心地よい臭いだった。山村は無意識のうちに左手を千秋の左肩に回し少し引き寄せた。左肩が少し重くなった感じがした。と同時に左膝に千秋の右手がふれた。山村は右手で千秋の右手を強く握った。千秋も強く握り返してきた。二人は何も言わずにただ黙って沖を見つめていた。・・・・・・ |
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